「花一輪に飼いならされる」
昨日はお正月記事でいっぱいになってしまって記すことができなかったのですが、
偶然見かけたETV特集の再放送に魅せられ、癒されておりました。
見ると、着物を着た70才の女性が、屋外の東屋に野宿をして
茶事の支度をしています。
自ら運転するバンには、調理用具が一式積み込まれているようで、
それを地面に広げて、客人をもてなす着物姿のまサクラマスを〆て
料理をつくりながら、客人に出しながら、・・すべてを一人でなさっています。
その日38度の熱があったというから、話すだけでも辛いと思うのに、
お茶をたてるところまでの4時間に及ぶ茶事の全てをひとりで行い、
感心するのは、その合間のお話ぶりが、実に端正であることでした。
どのような状況でも、声を清らかに、丁寧な話し方をするということが
和装という見た目同様どれだけの美しさを漂わせるかを
垣間見ました。
半澤さんというこの女性が茶道会のお人なのか、どのようなことで
全国行脚をして利休の茶事の神髄を極めようと思い立ったのか、
そのきっかけは見逃してしまったのですが、自然の中に溶け込み
野立て(だけでなく、懐石を含めた茶事)に選ぶ場所は、
幼い女の子がおままごとをするような 山村の野原だったりするのです。
客人はお一人のお坊様の時もあり(この時はきちんとしたお茶室)
その土地で出会った農家のおばさんだったり、
男性4人組だったり・・・。
こういうことを2年に渡ってなさった、そのドキュメンタリーでした。
そんな彼女のひたむきな美しいたたずまいに
新春にふさわしく啓発されました。
番組中、彼女が噛みしめていた言葉
”花一輪に 飼いならされる”
を書き留めるメモは自然と筆ペンでした。
‟置かれた場所で咲く”以上の謙虚な視点・・・。
この言葉を目に留まるところに掲げ、1年をスタートできることに
また、感謝を覚えるお正月です。