『官僚たちの夏』
1週間前に薦めてもらったその足でレンタルした5巻のDVDが、
観ようと思っていた週末に畳みかけるような予定が入った結果
手つかずのまま返却日を迎えていました。
それにしても、そのままお返しするのは悲しすぎるので、
時間の許す限り観ていこう、と決めて、DVD on。
シャンプーで濡れた髪を乾かすのもテレビの前という徹底した(#^^#)視聴体勢で
全10話中、8話まで見ることができました。
『官僚たちの夏』。
TBSの日曜劇場で、5年くらい前に放送されたドラマです。
原作は’75年に新潮社から刊行された本で、昭和30年からの高度経済成長時代を
支えていく通産官僚が民間と政治家の間で志をまっとうしようと尽力していく
実話ではないかと思えるような、経緯を綴ったドラマでした。
(出演者も佐藤浩市、堺雅人、船越英一郎、北大路欣也、 高橋克実 、佐野史郎、・・・
と、映画化と見間違うような豪華役者陣です。)
所々でこんな、実際の白黒画像も入っているので、自分が生まれる前の20年の日本を
垣間見ることができる、貴重な番組でした。
自分が生まれた時には、もう自動車は一般人の家にもありましたし、
炊飯器もテレビもありましたが、それよりほんの15年くらいさかのぼるだけで、
東京都内でさえ、道路の舗装率が5パーセントだったとか、
大衆向け国産自動車の開発も、アメリカに玩具呼ばわりされるようなスタートだったとか、
テレビ製造指定メーカーから切り落とされた無線メーカーが、業種転換を勧める官僚の提案で
重い腰を上げたのがコンピューーター開発のはしりだったとか・・・。
昭和36年には、私たちが小学校の社会科の教科書で習った‟太平洋ベルトライン”という名前がまだ構想として提案されていたのだとか。
コンピューターの部品となるトランジスタ一個の値段が当時のお給料1か月分だったとか。
鉄を自由貿易から守るために繊維産業が犠牲にされたとか。
退役時は名機と賞賛されたYS旅客機も最初はアメリカ航空局の認可テストをパスできなかったのだとか、
ほんの数十年前に本当に、何もかもゼロから始めていた日本という国を
リアルに垣間見ることができて、本当に面白かったですし、刺激になりました。
内需拡大、国内産業保護で国を守ろうとする熱意と
自由貿易こそが国を開くのだという愛国心の交錯は、
日本の現状に重なっていて、また、
東京オリンピック直前の時期、という点でも、現在の日本と重なるタイミングということで、
私たちが、そして日本が今、何を大切にしていきたいのか、という観点に立つきっかけ
と言う意味でも、タイムリーなドラマでした。
このDVDを教えてくだっ去ったmarrie先生に感謝です♪
この作品を取り上げたプロデューサーが込めたいメッセージはどうなのか、
見届けるためにも、残した1本はもう一週間借りてきました。楽しみです♪
どのような産業もゼロから作り上げ、競争力のある形にするまでには
血のにじむような努力と保護があっての今だったこと、
made in Japanは品質が良い、という定説はたった1世代前の日本人が築いたものだという事
そして、そんな努力でできあがった第一号の車や電化製品、飛行機をどんどん退役させるだけの追随する技術の進歩、製品の凄さ・・・・
そのすべてに感謝しつつ、
今、自然回帰、シンプルライフ、精神性、など、ソフトな部分・‟もの離れ”への関心が高まる時代でもありますが
、‟もの”作りの時代に燃やされた情熱と熱意は
守るものが国家から地球規模に変化しても、着眼点を移行しながら
日本人の身体の中に息づいているはずだと期待したいです。