ギデオン・クラインのピアノソナタ、初めて聴きました
今朝もまだ、冷静になってきているつもりでも、
頭の半分が違うことを考えていて、寝不足+集中力散漫でした。
午後を回っても、この状態じゃ車の運転もあぶない・・と
一旦は今日の外出予定をすべてやめることも考えましたが、ただでさえ
いつもの私ではない周りで委縮しているmasaの予定まで壊してはならない、と
予定通り出かけることにしました。
観たのは、杉原千畝という戦時中のリトアニアでリトアニアがソ連に吸収されてしまう
その日まで、ユダヤ人にビザを書き続けたという、何年か前にドラマにもなったあの方の奥様が書いた本が原作の、一人芝居でした。
『六千人のビザ』。
ギデオン・クラインというユダヤ人作曲家が、ナチの収容所の中で作ったピアノソナタがあったというのはしりませんでした。
不協和音が見事につらなった圧巻のソナタ。
セリフだけでは伝えきれないイメージの隙間を見事に補っていました。
数えきれない人々の、、折り重なる魂の叫び・・
恐怖と絶望と、不安を押し殺した中で、時が進んでいく・・そんなおとが
不気味というより力強く、必死に鳴っているソナタを目をつぶってきいていると、
はじめ、
今の私の心の中をそのまま描写してもらっているような、
寄り添われているような気分になりました。
そして、もっと暗く、深く、長い闇を重ねた音楽が、自分のことではなかった・・と
気付き覚醒するような錯覚に陥り、そして、会場をでたときには
大声を出して泣いた時のような、すっきりした疲れだけが残っていました。
私のためにあったような演奏。。
すごくかっこいい曲だけど、決して弾く側になりたくない、
ほどの重い情景が刻み込まれていました。
今、こういう演奏に出会うというこの偶然は、天の采配だったのかもしれません。
最後は、千畝が好きだったというベートーベンの「月光」でした。
この曲、暗くて寂しくなるから今日は聴きたくないな・・と思っていたのに、
極限の恐怖を通過した後に聞く
その曲が、こんなにも静けさの中で守られる癒しを運んでくれるのだと
驚くほど美しく感じました。
そうか、最後はこうして静けさが訪れ、過去となるんだ・・
そんなメッセージを感じました。
超静かなピアニシッシモが豊かな響きで届いてきたので
帰り際に下に降りて行ってピアノを確認し、納得でした。
ピアニストさんの素晴らしい演奏が最高に生きていました。
夕飯クリップ☆彡